もし全てのSNSをやめてしまったら?
まだインターネットなどなかった時代に私は絵を描き始めた。
情報はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞…今や視聴者・購読者が減り続けているメディアから。
積極的に取りにいかないと情弱に終わってしまう時代。
だけどある意味幸せな時代だったと思う。
他と比べる術がないから、井の中の蛙になりがちではあったけれど「創作」に何の迷いも疑いもなく没頭できた時代。
自分が描きたいものを自由に描いて、描くことが幸せだった。
描いた絵をたまに、周囲のほんの一握りの人たちに見せることで満足できた時代。
けれど今は違う。
四六時中「X」や「Instagram」に付く「いいね」の数を気にしている自分に辟易している。
次こそは、と心に念じながらたくさんの作品をネット上に晒し続けてきた。
なのに、反応をもらいたいがために描けば描くほど「いいね」の数は減っていくのだ。
一体何のために自分は創作世界に身を沈めているんだろうか、と。
ただただ創ることが好きで、自分の創ったものを愛して止まなかった頃の私は一体どこへ行ったのか。
絵の技術を上げる方法はわかっても、どうやったらバズる絵が描けるのかなんてわからない。
自分が「向こうの世界」に渡る日なんて訪れることはない、と薄々気付いているというのに。
ただの「絵が上手くなりたいひと」に戻るべき、なのだ。
そろそろお片付けの頃合いなのかもしれない。